診断・治療 脊椎内視鏡手術

当科では椎間板ヘルニアや脊椎腫瘍などに対し、内視鏡手術を実施しています。内視鏡手術では、切開部から直径15mmまたは19mmの円筒状の筒(チューブリトラクター)を脊椎に向けて挿入します。内視鏡手術では、従来の手術方法に比べて切開部が小さく(通常1.5〜3 cm)、筋肉の損傷を最小限にすることが可能です。そのため術後の痛みが少なく、機能回復が早いというメリットがあります。チューブリトラクターにスコープと高解像度カメラを取り付け、スクリーンに映し出された術野を見ながら手術を行います。明るく拡大された術野では、脊髄、神経根、血管がはっきりと視認できるため、細やかな操作が可能となります。内視鏡手術は大きく以下の2種類に分けられます。

ダイレーターにより筋肉を周囲に押し広げ脊椎にアプローチする。
頸部に15mm径のチューブリトラクターを設置・固定したところ。
チューブリトラクターにスコープを接続し、画面上の拡大された術野を見ながら手術を行う。
腰椎の椎間板ヘルニアでは皮膚切開は2cm程度である。

Microendoscopic disectomy:
MED法(内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術)

主に胸腰椎または腰仙椎の椎間板ヘルニアに対して行う手術です。胸椎または腰椎に対し背外側からチューブリトラクターを挿入します。腰仙椎の場合は背側からアプローチします。通常の手術では脊椎に付着している筋肉(多裂筋や最長筋)を椎骨から剥離しますが、MED法では筋肉をダイレーターという器具で周囲に押し広げて脊椎を露出します。この特殊な開創法を行うことにより、筋肉のダメージが最小限となり、術後の機能回復が早いのです。椎間板を摘出するのに最小限の骨切除を行い、できた隙間から椎間板を取り出します。

6歳, 雄, ウェルシュ・コーギー, 14.2kg
T12-13の小範囲椎弓切除術による椎間板摘出術
19mm径のチューブリトラクターにより開創し、逸脱椎間板の摘出を行なった。

Microendoscopic laminectomy:
MEL法(内視鏡下椎弓切除術)

主に頸部の椎間板ヘルニアに対して行う手術です。これまでは頸部の多発性の椎間板ヘルニアに対しては、複数箇所の腹側減圧術(ベントラルスロット)を行なっていました。しかし近年では小型犬の症例が多く、複数箇所の腹側減圧術が困難で、術後十分な機能回復が得られないことがあります。代わりに背側から大きく脊椎を露出し、複数箇所の椎弓切除(背側椎弓切除術)を行うことがありますが、頸部の背側筋肉を大きく切開するため、術後疼痛が問題でした。MEL法により1箇所の小切開から複数箇所の椎弓切除が可能となり、低侵襲に脊髄減圧術ができるようになりました。

10歳, 去勢雄, チワワ, 3.2kg
C5-6背側椎弓切除による脊髄減圧術
15mm径のチューブリトラクターにより開創し、1mmケリソンパンチによる背側椎弓切除を行なった。

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岐阜大学附属動物病院 神経科

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