岐阜大学動物病院

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岐阜大学動物病院 獣医臨床セミナーのご案内

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第15回 獣医臨床セミナー

日時 2009年4月26日(日)14時40分~17時
会場 岐阜大学応用生物科学部1階 ・多目的セミナー室
講演内容 教育講演 犬と猫の歯根・根尖周囲の疾患---口腔鼻腔瘻と根尖周囲病巣の診断と治療---
症例検討【1】 尿崩症と診断したネコの一例
症例検討【2】 ロムスチン投与により長期寛解した皮膚症状を伴った犬のリンパ腫の一例
協賛企業 日本全薬講演20分(資料、飲料水)、株式会社インターズー(別刷り)

教育講演

犬と猫の歯根・根尖周囲の疾患(口腔鼻腔瘻と根尖周囲病巣の診断と治療)
資料の一部をPDFでご覧いただけます。
株式会社インターズー様の協賛企業からのメッセージをご覧ください。

講師 渡邊 一弘(外科)

歯周炎は歯肉辺縁だけの疾患ではなく、歯根の奥深くにまで達する歯肉・歯槽骨・歯根膜・セメント質といった歯周組織全体の疾患である。日常の診療において、犬や猫の鼻汁やくしゃみ、眼窩下の腫脹や口腔粘膜・皮膚からの排膿といった症状に遭遇する機会は多く、このような臨床症状が歯周炎に起因していることは少なくない。鼻汁やくしゃみの症状は上顎の犬歯や前臼歯の歯周炎による垂直性骨吸収からおこる口腔鼻腔瘻でみられ、眼窩下の腫脹や口腔粘膜・皮膚からの排膿は重度の辺縁性歯周炎や破折などの歯髄疾患からおこる根尖周囲病巣でみられる。今回、歯周炎が重度に進行した疾患として口腔鼻腔瘻と根尖周囲病巣をあげ、その病態と臨床症状、さらに診断・治療法について述べる。

症例検討【1】

尿崩症と診断したネコの一例

講師 千村 直輝(内科)

尿崩症は、バゾプレシンの産生障害、またはバゾプレシンに対する感受性の低下に起因する代謝性疾患である。尿崩症は病態によって中枢性尿崩症と腎性尿崩症に大別される。いずれの病態においても、尿細管における水の再吸収が阻害されるため、多飲多尿および低比重尿などが認められる。ネコにおいて尿崩症は極めてまれな疾患とされているが、今回我々は中枢性尿崩症が疑われる症例に遭遇したため、その概要について報告する。症例は4歳9ヶ月の雑種ネコであり、多飲多尿の鑑別診断のため岐阜大学動物病院内科を紹介受診となった。臨床検査の結果、尿比重は1.002と極めて低く、さらに血清中ナトリウム濃度は187mEq/lと著しく上昇していた。中枢性尿崩症の仮診断のもと、デスモプレシン点眼を開始した結果、症状は劇的に改善した。検討会では、本症例の臨床経過を概説しつつ、ネコの尿崩症に対する臨床アプローチについて考察してみたい。

症例検討【2】

ロムスチン投与により長期寛解した皮膚症状を伴った犬のリンパ腫の一例

講師 永山 賢二(愛知県ふるはし動物病院)

5歳齢の雌のダンディ・ディモント・テリアが下痢、嘔吐、および元気消失を主訴として来院した。脾臓の腫大、肝酵素の上昇、および末梢血中の幼若リンパ球の顕著な増加が認められた。リンパ性白血病もしくはリンパ腫を疑い、肝臓と脾臓のFNA、および骨髄生検を行ったところ、脾臓原発のリンパ腫と診断された。VELCAPプロトコールに従い、化学療法を開始したが治療への反応は低く、さらに皮膚にリンパ球浸潤を伴う全身性の紅斑、潰瘍を発症した。症状および治療に抵抗を示すことからT細胞性リンパ腫を疑い、ロムスチン90mg/m2による化学療法に変更したところ、症状は改善して寛解が得られた。副作用を考慮して6回目の投与で休薬、経過観察を行った。第167病日、右眼球の眼圧が上昇し緑内障を発症した。リンパ腫の眼転移が疑われたため、眼球を摘出して病理組織学的検査を行ったところ、T細胞性リンパ腫と診断された。再発の可能性を考慮し、ロムスチンによる化学療法を再開して、第254病日、経過は良好である。

協賛企業からのメッセージ

2時40分より、セミナーにご協賛いただいた日本全薬工業株式会社様より「炎症性皮膚疾患の療法食を用いた食事管理」とのタイトルでご講演があります。

株式会社インターズー様のご協力により、教育講演の内容を、J-VET誌2009年3月号 51~58ページに掲載しています。今後も、臨床セミナーの教育講演の要旨がJ-Vet誌に事前(1ヶ月前)に掲載されます。

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