研究・業績紹介

現在、我々は以下のテーマで研究を行っています。これらの研究の一部は、共同獣医学科獣医臨床放射線学研究室の活動として行なわれています。

岐阜大学で行っているDMの研究

DMの原因遺伝子であるSOD1遺伝子の異常は人においては筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病を引き起こします。そこで我々は、ALSの研究を行っている岐阜大学医学部、岐阜薬科大学、滋賀医科大学とチームを組み、医−薬−獣が連携してALSとDMという2つの難病の克服を目指しています。研究の全体像は下図の様なイメージです。

1.DMの原因である変異型SOD1遺伝子の保有率調査

日本国内にいるコーギーの何%が変異遺伝子を持っているのかを調べるために、鹿児島大学の大和修教授と共同研究を行っています。122頭の健常なコーギーを調べたところ、日本国内のコーギーの48.4%がDMを発症するリスクがあることが明らかとなりました[1]。現在は、同じ遺伝子変異を持っているにも関わらず、DMを発症する犬と発症しない犬の違いは何かを調べています。

2.DMの病態解明

DMでは変異型SOD1蛋白が神経細胞に蓄積し、凝集体を形成することが知られています。我々は、変異型SOD1蛋白が神経細胞の周囲に存在するグリア細胞の一種であるアストロサイトにも高度に蓄積することを明らかにしました [2]。アストロサイトへの変異型SOD1蛋白の蓄積は、発症前のコーギーの神経細胞にも見られることから、DMの病態にアストロサイトが深く関与していると考えられます。しかし、それがいつ・どのように脊髄を障害するのかはわかっていません。変異型SOD1蛋白の凝集体がDMを起こすメカニズムを解明することで下記のDMに対する診断法・治療法につなげたいと考えています。

3.DMの新しい診断法

DMの診断の項目でも述べましたが、現在のところ生前に確実にDMと診断する方法はなく、確定診断するには、死後に脊髄組織の病理組織学的検査を実施するしかありません。そのため、生前にDMの病変を画像診断によって描出できる方法を探しています。また、血液中や髄液中の神経特異的蛋白を調べて、発症前に病気を検出し、さらに病気の進行度を評価できる血液のバイオマーカーを研究しています。発症前にDMを診断することが出来るようになれば、より早期から治療介入が可能になります(下図)。

4.DMの治療法の開発

現在までにDMの進行を遅らせる治療法は、理学療法しかありません。我々は、再生医療を含め、DMの新しい治療法の開発を目指して研究をしています。しかし、10歳を過ぎてから発症する遅発性の神経変性疾患であるDMに対しては、発症後から治療を開始しても顕著な効果は期待できないかも知れません。そこで先に述べてように発症前診断が重要になってくると考えています。

臨床放射線学研究室では一緒に研究をしてくれる大学院生を随時募集しています。

研究室に関する情報は研究室ホームページをご覧ください。

1. H.S. Chang, H. Kamishina, K. Mizukami, Y. Momoi, M. Katayama, M.M. Rahman, M.M. Uddin, A. Yabuki, M. Kohyama, O. Yamato, Genotyping assays for the canine degenerative myelopathy-associated c.118G>A (p.E40K) mutation of the SOD1 gene using conventional and real-time PCR methods: a high prevalence in the Pembroke Welsh Corgi breed in Japan, J Vet Med Sci 75(6) (2013) 795-8.

2. S. Nakamae, Y. Kobatake, R. Suzuki, T. Tsukui, S. Kato, O. Yamato, H. Sakai, M. Urushitani, S. Maeda, H. Kamishina, Accumulation and aggregate formation of mutant superoxide dismutase 1 in canine degenerative myelopathy, Neuroscience 303 (2015) 229-240.

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岐阜大学附属動物病院 神経科

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