岐阜大学動物病院

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岐阜大学動物病院 獣医臨床セミナーのご案内

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第18回 獣医臨床セミナー

日時 2010年2月7日(日)14時40分~17時
会場 岐阜大学応用生物科学部1階・多目的セミナー室
講演内容 教育講演 3DCTによる門脈体循環シャントの診断と治療
症例検討【1】 トキソプラズマ症を疑うネコ症例の免疫学的検査の一例
症例検討【2】 骨癒合不全における自己骨髄由来骨形成細胞を含有する多血小板血漿ゲルを移植した犬の1例
協賛企業 ファイザー株式会社20分(資料、飲料水)、株式会社インターズー(別刷り)

教育講演

3DCTによる門脈体循環シャントの診断と治療
資料の一部をPDFでご覧いただけます。
株式会社インターズー様の協賛企業からのメッセージをご覧ください。

講師 鷲巣 誠(外科)

門脈体循環シャント(PSS)は比較的希な疾患であると考えられているが、実は本来考えられているよりも多く存在するのではないかと思われる。PSSの典型的な症状は肝性脳症による発作であるが、PSS症例の中には無症状あるいは血液検査で一項目(総胆汁酸)のみ微妙な高値を示す場合がある。症状や検査値のバリエーションにはシャント血管の走行とシャント率が深く関与している。今回は典型的な無症状、典型例そして重症例についてCT検査所見をもとに解説する。CT検査はPSSの確定診断、手術方法の確認そして予後を推測する上で手術前の必須な術前検査である。

症例検討【1】

トキソプラズマ症を疑うネコ症例の免疫学的検査の一例

講師 高島 康弘(内科)

トキソプラズマ症を疑ったネコの症例についてご紹介いたします。本症例は元気・食欲減退を主訴として他院を受診され免疫学的な検査等を私どもが実施した症例です。受診先でさまざまな検査を行ったもののトキソプラズマ抗体弱陽性(128倍)である以外に原因を推測できないとのことでした。トキソプラズマ症に対する検査的治療を実施(クリンダマイシンを10mg/kg/dayにて)したところ症状が消失し抗体価が陰性(64倍以下)に転じたとのことです。検査はいずれも検査機関へ依頼したとのことでした。トキソプラズマ原虫に感染した動物は長期間(教科書的には生涯)抗体価を維持するとされており治療が成功しても抗体価が陰転するとは考えにくかったことから、本症例の治療前後の血清を私どもの研究室にてより感度の高い手法で精査したところ、治療前後ともにトキソプラズマ特異的な抗体が認められました。現段階でこの症例が示した症状がトキソプラズマ症に起因するものであるという証拠はありませんが、すくなくともトキソプラズマ原虫に感染したことは確かです。すなわち低レベルの感染による軽微な抗体価の上昇は通常の検査をすり抜ける可能性があるといえそうです(このような低レベルの抗体価上昇でとどまる症例がそれほど多いとは思えないこと、擬陽性が出ないようにすることなどを勘案すると検査機関から提供される現行の検査法は適切であると思います。検査機関の検出レベルに問題があるということではありません)。原因不明の発熱、元気・食欲減退といった症例の中に一定数のトキソプラズマ症が隠れているのかもしれません。このような症例に対してとるべきアプローチについて議論できればと思います。

症例検討【2】

骨癒合不全における自己骨髄由来骨形成細胞を含有する多血小板血漿ゲルを移植した犬の1例

講師 宮脇 慎吾(外科)

近年、国内獣医科大学や一部診療施設では主に脊髄損傷疾患や骨癒合不全症例に対し、それぞれ神経や骨の再生獣医療が実施されている。本学附属の動物病院外科診療科においても以前より骨癒合不全症例に対し骨髄間質細胞を用いた治療法に取り組んできたが、最近ではそれに代わり上記の細胞を骨形成細胞に分化させ多血小板血漿ゲルとともに移植する方法を行っている。
今回の発表ではその新たな方法について概説するとともにそれを適用した骨癒合不全症例についてその臨床経過を報告したいと思う。

協賛企業からのメッセージ

14時40分より、セミナーにご協賛いただいたファイザー株式会社様より「コンプライアンスを考えた感染症診療」とのタイトルでご講演があります。

株式会社インターズー様のご協力により、教育講演の内容を、J-VET誌2009年12月号56~61ページに掲載しています。今後も、臨床セミナーの教育講演の要旨がJ-Vet誌に事前(1ヶ月前)に掲載されます。

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