岐阜大学動物病院

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岐阜大学動物病院 獣医臨床セミナーのご案内

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第28回 獣医臨床セミナー

日時 2013年7月28日(日) 15時~18時
会場 岐阜大学応用生物科学部1階・多目的セミナー室(旧101講義室)
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申し込み方法 当日受付のみ(参加費無料)
講演内容 教育講演

副腎皮質機能亢進症の診療

症例検討【1】 ネコの検診データ解析:BUNとクレアチニン
症例検討【2】 汎血球減少症を示したネコの2例
協賛企業アニマルオルソジャパン、株式会社インターズー

教育講演

副腎皮質機能亢進症の診療

講師 岐阜大学動物病院 内科 西飯直仁

資料の一部をPDFでご覧いただけます。
株式会社インターズー様の協賛企業からのメッセージをご覧ください。

副腎皮質機能亢進症は、副腎皮質ホルモンの過剰によって引き起こされる疾患であり、クッシング症候群とも呼ばれる。犬では比較的多くみられるのに対し、猫では非常にまれな疾患である。典型的な臨床症状がみられた場合にはこの疾患を疑うことは容易であるが、非特異的な症状や検査異常がみられるのみであることや、本疾患とは一見全く関係が無さそうな異常しかみられないこともあり、このような場合には診断にたどり着くのが難しい。また診断のための内分泌機能検査が複数あり、手技も煩雑であることから、どのように検査を進めれば良いかについて理解することが重要である。本講演では副腎皮質機能亢進症について、どのように診断および治療を進めていくかを解説するとともに、副腎皮質機能亢進症の症例データからより良い診療について考察したい。

症例検討【1】

ネコの検診データ解析:BUNとクレアチニン

講師 岐阜大学動物病院 内科 北川 均

動物検査センターに健康診断(検診)として依頼されたネコ2,392頭の臨床検査データのうち腎機能(クレアチニン(CRE)、尿素窒素(BUN))に焦点を当て、正常値と異常値の分布を検討した。
検査したネコ全体のCRE(n=2,390)の平均値±標準偏差は1.70±1.10(SE: 0.02)mg/dlであり、統計的に算出したCREの基準値(2.5 mg/dl)を超えたのは194(8.4%)であった。年齢ごとの検討では、CREの平均値は加齢にしたがって上昇し、0歳の1.07±0.28 mg/dlから4-6歳では1.70±1.60 mg/dlとなり、>16歳では2.47±1.63 mg/dlに上昇した。基準値を超えた個体は、0歳ではいなかったが、加齢とともに増加し、13-15歳では13.9%、16歳以上では35.2%となった。International Renal Interest Society (IRIS) の慢性腎不全の病期を考慮すると、検診データのみの解析のため各個体の臨床症状は不明であるが、病期2(CRE: 1.6-2.8 mg/dl)に該当する例は1歳では13.8%、7-9歳で33.5%、13-15歳で43.8%、>16歳では55.8%であった。病期3(CRE: 2.9-5.0 mg/dl)に該当する例は、1歳では0.6%、7-9歳で2.4%、13-15歳6.5%、>16歳で19.3%であった。病期4(CRE: >5.0 mg/dl)に相当する例は、4-6歳から出現し(1.7%)、13-15歳までは0.7-0.9%、>16歳では3%となった。病期が2以上(CRE: >1.6 mg/dl)の症例は、7-9歳では36.5%、13-15歳では51.2%、>16歳では78.1%であった。
BUNについては、基準値(40 mg/dl)を超えた個体数は896(11.2%)であった。BUN(n=2,392)の平均値は30.1±16.7(SE: 0.34)mg/dlであった。BUNを年齢別にみると、平均値は徐々に上昇した。0歳から10-12歳までは30 mg/dl以下を維持したが、>16歳では45.6±27.6 mg/dlに上昇した。基準値を超えた例の割合は、13-15歳では19.8%、>16歳では45.9%と比較的多かった。
ネコのCREとBUNの検診データの検討では、基準値を超える値が比較的多く検出され、腎機能低下を示す個体が多いことを示した。これらの所見は、ネコの腎不全に関して定期的に検査することの重要性を示し、定期健診によってできるだけ早く異常を検出することにより、早期に治療を開始できる可能性を示す。

症例検討【2】

汎血球減少症を示したネコの2例

講師 岐阜大学動物病院 内科 林 武志

汎血球減少症は血中における全ての血球成分(赤血球、白血球、血小板)の減少により定義され、ネコにおいてその発生率は2.8%であることが報告されている。種々の血球減少は貧血、易感染性、出血傾向といった様々な症状を引き起こし、その原因は感染、腫瘍、薬物、免疫の介在など多岐に渡る。このため、適切な治療のための鑑別診断が非常に重要である。今回は汎血球減少症が認められ、岐阜大学付属動物病院に来院したネコ2例の臨床症状、診断について報告する。

協賛企業からのメッセージ

15時より、本セミナーにご協賛いただくアニマルオルソジャパン様から「アニマルオルソジャパンの治療用装具の紹介」のご講演があります。
株式会社インターズー様のご協力により、教育講演の内容をJ-VET誌 に掲載します。本教育講演の要旨はJ-VET誌2013年6月号41~47ページに掲載しています。今後は、臨床セミナーの教育講演の要旨がJ-VET誌に事前(1ヶ月前)に掲載されます。

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