岐阜大学動物病院

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岐阜大学動物病院 獣医臨床セミナーのご案内

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第32回 獣医臨床セミナー
比較がんセンターとの共催(第11回比較腫瘍学セミナーとして)

日時 2014年7月27日(日) 15時~18時
会場 岐阜大学応用生物科学部1階・多目的セミナー室(旧101講義室)
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申し込み方法 当日受付のみ(参加費無料)
講演内容 教育講演

実践!実戦!細胞診!!~標本と顕微鏡と「私」~

症例検討【1】 PRCA/NRIMAにミコフェノール酸モフェチルは有効か?
症例検討【2】 電気生理学的検査の有用性〜重症筋無力症を例に〜
協賛企業 株式会社ベーリンガーインゲルハイムベトメディカジャパン、株式会社インターズー

教育講演

実践!実戦!細胞診!!~標本と顕微鏡と「私」~
講師 岐阜大学応用生物科学部共同獣医学科
獣医病理学分野・比較がんセンター 比較がん病理病態学部門
酒井 洋樹

細胞学的検査は手軽にできるが,診断,つまり「細胞診」となるとなかなか手ごわいものである。まず,標本そのものがうまくできているかが分からないし,どれが意味のある細胞が分からない,など不安要素がいっぱいで,結局細胞診断医に依頼するほうがいい(楽?)ということになってしまう。ただ細胞学的検査の長所である迅速さという点では,何とかその場で「細胞診」したいところだ。どうするか?[1]きれいな標本をつくり,[2]体系立てて,効率よく観察する。また,[3]細胞学的検査の長所・短所をしっかり理解し,[4]採材対象,部位の特性を加味する。専門医のようにすべてが分かる必要はない。細胞学的検査の長所と限界,つまり,「わかること」と「わからないこと」をしっかり理解して,正確かつ効率のよい検査を目指してもらいたい。よい塗抹とよい染色,適切かつ効率的な鏡検,そして正しい見方と判断,すなわち~標本と顕微鏡と「私」~である。

症例検討【1】

PRCA/NRIMAにミコフェノール酸モフェチルは有効か?

講師 岐阜大学動物病院 血液内科 鬼頭 克也

PRCA/NRIMA(赤芽球癆/非再生性免疫介在性貧血)は,骨髄における赤血球系前駆細胞の傷害によって生じる重症の貧血で,昨今,犬での発生が増加している。主に免疫介在性に細胞が破壊されるため免疫抑制治療を要するが,多くは難治性であり致死率が高い。当科では,プレドニン,シクロスポリンに不応となった症例にミコフェノール酸モフェチルを投与しているので,その臨床評価について検討したい。

症例検討【2】

電気生理学的検査の有用性~重症筋無力症を例に~

講師 岐阜大学動物病院 神経科 小畠 結

犬の重症筋無力症(MG)は、骨格筋終板のシナプス後膜上のニコチン型アセチルコリンレセプター(AChR)に対する自己抗体産生により、神経筋接合部の伝達効率が低下する自己免疫疾患である。一般的に重症筋無力症の診断は、特徴的な症状 (運動不耐性および休息による改善)とテンシロンテスト、血中抗AChR抗体の測定により行う。しかし、臨床症状として巨大食道のみを示す局所型MGの症例では、臨床症状やテンシロンテストでは診断が困難である。さらに、抗AChR 抗体測定を実施しても偽陰性となる可能性があるため(人での局所型MGの偽陰性率は30~50%)、抗AChR 抗体以外の感度の高いMG診断ツールが求められている。今回我々は岐阜大学動物病院に来院したMGを疑う症例に対して、電気生理学的検査を実施した。この結果、運動不耐性が認められず巨大食道のみを呈する症例において、電気生理学的検査の一つである反復刺激試験により、四肢の神経筋接合部の異常を検出し、MGを診断することができた。したがって、MGの診断ツールとして電気生理学的検査が有用であると考えられた。本発表では、症例の概要と電気生理学的検査の原理、検査時の注意点について言及する。

協賛企業からのメッセージ

15時より、本セミナーにご協賛いただく株式会社ベーリンガーインゲルハイムベトメディカジャパン様から「猫のCKD治療の新たな一歩」のご講演があります。株式会社インターズー様のご協力により、教育講演の内容をJ-VET誌 に掲載します。本教育講演の要旨はJ-VET誌2014年7月号に掲載予定です。

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