Journal Club 201902

腫瘍科で行っているJournal Clubの要約を掲載いたします。内容の詳細につきましては原著論文をご参照ください。

2019.02

卵巣癌のスクリーニングとしてのmicroRNAプロファイル解析

Integrated extracellular microRNA profiling for ovarian cancer screening.

Yokoi A, Matsuzaki J, Yamamoto Y, et al. Nat Commun. 2018;9(1):4319.

卵巣癌の早期診断スクリーニング方法がないことが診断時の問題であった。循環血液中のmicroRNA (miRNA)は臨床応用ができるバイオマーカーであると認識されつつある。最適な検出方法の開発のために、マイクロアレイを用い、428の卵巣癌患者を含む4046の血清サンプルより得られた包括的なmiRNAのプロファイルを今回示している。診断モデルはdiscovery setにおいて、10のmiRNAの発現レベルに基づいている。別のコホートの確認によりこのモデルはひじょうに正確であることを明らかにし(感度0.99、特異度1.0)、診断正確性は初期ステージの卵巣癌患者においてさえも維持していた。さらに、我々は9-10の血清miRNAを用い、他のタイプの固形がんや良性の卵巣腫瘍と卵巣癌を区別することを目的とし、2つの追加モデルを作成した。我々の発見は、血清miRNAは卵巣癌の診断バイオマーカーになるという根拠になる。

コメント

国立がん研究センターが行っているmiRNA研究の一つである。これは、マイクロアレイを用いて13種類の癌のmiRNAプロファイルを作成し、新しい診断機器、検査システムの開発を目指すものである。今回、10のmiRNAを組み合わせることにより、有意に卵巣癌が診断できることが示された。良性卵巣腫瘍とは判別できないため、この検査は卵巣癌のスクリーニング検査に向いていると考えられる。今後、他の癌においてもこのような研究が蓄積され、非侵襲的で有効性の高い診断キットの開発が大いに期待できる。