Journal Club 202507

腫瘍科で行っているJournal Clubの要約を掲載いたします。内容の詳細につきましては原著論文をご参照ください。

2025.07

犬の双側横隔神経麻痺の治療における張力調整式横隔膜形成術

Tensioning diaphragmoplasty for treating bilateral phrenic nerve paralysis in a dog

S. Matsumoto, K. Hosoya, S. Kim and M. Okumura et al. J Small Anim Pract. 2025 Jun;66(6):425-431. doi: 10.1111/jsap.13836. Epub 2025 Feb 11.

避妊手術を受けた雌のミニチュア・ダックスフンドが、大きな縦隔腫瘤を呈して来院した。胸腺摘出術中、腫瘍組織に囲まれていた左横隔神経は腫瘍とともに一括切除され、右横隔神経は電気手術による熱凝固により損傷を受けた。術後、犬は著しい呼吸困難と矛盾呼吸運動を示した。吸気時のレントゲン写真で両側横隔膜麻痺が確認され、胸部CT検査では構造的異常は認められなかった。術後5日目、犬は呼吸疲労により倒れ、救命手術として張力調整式横隔膜形成術が実施された。
手術では、横隔膜の一部を切除して閉鎖し、腹膜面にポリプロピレンメッシュを縫合して補強した。その後、犬の呼吸症状は著しく改善し、375日目に尿路上皮がんにより死亡するまで呼吸障害は再発しなかった。この手術手技は、横隔膜の機能を回復させる有効な方法であると考えられる。

コメント

唯一の治療法のため術式を備える必要がある。