Journal Club 202512

腫瘍科で行っているJournal Clubの要約を掲載いたします。内容の詳細につきましては原著論文をご参照ください。

2025.12

犬と猫の臓器および血管への副腎腫瘍の癒着を予測するためのコンピュータ断層撮影の精度

Computed Tomography Accuracy for Prediction of Adrenal Tumor Adhesion With Organs and Vessels in Dogs and Cats

Manuela Baldinetti, Chiara Mattei and Pamela Di Donato et al. Vet Radiol Ultrasound. 2025 Nov;66(6):e70096. doi: 10.1111/vru.70096.

背景:副腎腫瘍は周囲の臓器や血管に癒着することがあり、外科的摘出の難易度や合併症リスクを大きく左右する。しかし、獣医領域ではCTによる癒着所見の定義や診断精度に関する研究が乏しい。
目的:犬および猫の副腎腫瘍に対し、CT による周囲臓器・血管への癒着予測の正確性を明らかにし、機械学習をベースとした癒着予測モデルを構築する。
方法:本研究は前向き多施設共同研究として 30 頭の犬と 2 頭の猫(計 32 例)を登録した。全例で術前 CT(単純+造影)および副腎摘出術が行われた。5 名のECVDI認定放射線科医が、事前に合意形成された血管用5項目・臓器用8項目のCT癒着基準に基づき、CT所見をそれぞれ評価した。放射線科医間の一致率は、κ係数で評価した。手術所見をゴールドスタンダードとして、確率的分類ツリー法により癒着予測の有用性を検討した。
結果:癒着は 84.4%(27/32) に認められ、特に腎静脈(16/32)、後大静脈(13/32)、前腸間膜動脈(7/32)ならびに腎臓(8/32)で高頻度であった。放射線科医間の一致率は後大静脈、腎静脈、腎臓などで概ね高かった。単一の CT 所見だけでは癒着を予測できなかったが、確率的分類ツリー法により 複数のCT所見や補助情報(副腎の左右、画像品質、腫瘍破裂の有無)を組み合わせると、予測精度が上がった。大動脈癒着(2/32)と腹腔動脈癒着(0/32)は症例数が少なく、モデル構築には不十分であった。
結論: 単一の CT 所見では副腎腫瘍の癒着予測は困難だが、複数の CT 所見を組み合わせた確率的分類ツリー法により、血管・臓器に対する癒着の確率を高精度で推定できることが示された。術前のリスク評価および外科的計画立案において、癒着の確率を CT から定量的に提供できる可能性がある。さらなる症例蓄積とモデルの外部検証が望まれる。

コメント

術前評価に「癒着の確率」を提供できるのがこの研究の最大の価値だと考えられる。