Journal Club 202601

腫瘍科で行っているJournal Clubの要約を掲載いたします。内容の詳細につきましては原著論文をご参照ください。

2026.01

犬の高悪性度リンパ腫において初回寛解後の半身照射は無増悪期間を延長させる

Half-Body Radiation Therapy Results in a Prolonged Progression-Free Interval in Canine High-Grade Lymphoma After First Remission

Yen-Hao Erik Lai, Sarah Lyles and Mark Mitchell et al. Vet Comp Oncol. 2025 Jun;23(2):236-245. doi: 10.1111/vco.13050. Epub 2025 Mar 15.

犬の高悪性度リンパ腫における多剤併用療法と広範囲照射の併用の追加プロトコルは未だ確立していない。本レトロスペクティブ研究の目的は、犬の高悪性度リンパ腫において化学療法と半身照射(HBI)を併用したプロトコルの成績を評価することを目的とした。放射線治療は4Gy/回/日、連日2日間で上半身に対して実施され、2週間後に同様のプロトコルで下半身に対して実施された。コントロール群は化学療法のみを実施された。全症例で細胞学的診断がなされており、化学療法の2サイクル目で完全寛解を達成していることが組み入れ条件として設定された。14頭がHBI治療を受け、11頭がコントロール群として組み入れられた。無増悪期間(PFI)の中央値は、コントロール群(316日)に対してHBI群(1143日)で有意に延長した(P=0.004)。HBI群においてT細胞性リンパ腫の症例(292日)はB細胞性リンパ腫の症例(2127日)と比較して有意にPFIが短縮した(P=0.0013)。さらに、中央生存期間(MST)はコントロール群(566日)に対してHBI群(1924日)で有意に延長した(P=0.0077)。HBI群とコントロール群を比較したところ、前者で長期のPFIおよびMSTは優位に長期経過となった(それぞれP=0.0062、P=0.0252)。多剤併用療法を完遂した、化学療法反応性の症例に対して、HBIはコントロール群に比べて腫瘍再発までの期間を有意に延長することが示された。

コメント

近年、犬猫のリンパ腫に対する半身照射の報告が増加しており、注目される追加治療であることがわかる。個人的には標準的な化学療法が限界を迎えた時に、レスキュー療法として半身照射を実施する印象だったが、本研究のように初期治療として化学療法と半身照射を組み合わせることによって、より長期生存が期待できる可能性があり、リンパ腫の初期治療戦略として検討する必要がある。