Journal Club 202604

腫瘍科で行っているJournal Clubの要約を掲載いたします。内容の詳細につきましては原著論文をご参照ください。

2026.04

犬における起源不明髄膜脳脊髄炎に対する全脳照射の短縮プロトコール

A shortened whole brain radiation therapy protocol for meningoencephalitis of unknown origin in dogs

Robert Herzig , Katrin Beckmann and Maximilian Körner et al., Front Vet Sci. 2023, Mar 20:10:1132736. [SJR: 0.78, Cited: 9] doi: 10.3389/fvets.2023.1132736. eCollection 2023.

導入:犬の起源不明髄膜脳脊髄炎(MUO)に対しては、さまざまな治療オプションが報告されている。第2選択の免疫調節療法として放射線治療に焦点を当てた研究は少ないが、その有効使用が示唆されている。しかし、標準的な放射線治療プロトコルが欠如しており、様々な照射プロトコールの効果を評価する必要がある。
方法:MRI画像およびCSF検査所見に基づいてMUOと診断された10匹の犬を前向きに調査した。症例は、全脳照射の短縮プロトコール(20Gy /5Fr)とプレドニゾロンで治療された。神経学的な変化は、過去に確立されたスコアリングシステムを用いて定量化された。放射線治療の3か月後に、フォローアップのためのMRI検査およびCSF検査が予定された。全生存期間(OS)と進行までの時間(TTP)が計算された。症例が死亡した場合、脳の組織学的検査が実施された。
結果:7頭は新規病変、3頭は再発病変であった。放射線治療中に10頭すべての犬の神経症状が改善し、治療後すぐに4頭の症状が消失した。治療終了後3か月で3頭が死亡した。フォローアップのMRI検査では、2頭が完全寛解、5頭で部分寛解、1頭では進行していた。MRI検査の後、症例はプレドニゾロン単剤(2頭)および追加の免疫抑制剤(5頭)で治療された。全体として、4頭は症状が進行し、進行までの平均時間は691日(95%CI: 396-987)、全頭の平均全生存期間は723日(95%CI: 436-1011)であった(いずれも中央値は達成されていない)。組織病理学的検査により、3頭でMUOが確認されたが、1頭ではグリオーマが示唆された。放射線治療による副作用は見られなかった。
結論:短縮全脳照射は、プレドニゾロンとの併用で、MUOに対する追加治療オプションとなり得る。特に、症状の迅速な緩和が必要、再発症例の場合に有用である。

コメント

放射線治療が難治性の脳炎の予後を改善する可能性が示唆されている。現時点では内科療法への反応が悪く、状態が安定しない症例が放射線治療を検討するため、20Gy/5Frならば完遂できるのではないかと思う。別の報告では、全脳に対する線量が多くなると(>30Gy)生存期間が短縮するというデータが示されているため、脳炎については線量を落としたプロトコールでの実施が望ましいのではないだろうか。